加害者の受ける処分は行政処分と刑事処分です。しかし軽いのです。 交通事故では、1986年に法務省が「国民皆免許時代に交通事故で多数が刑事罰の対象になるのは 好ましくない」として、必罰主義を転換した。このため刑事処分を決めるための裁判を行う 起訴率は、急速に低下し、1980年代の70%台が1997年には15%と著しく低下した。 すなわち寛刑化である。交通事故を起こしても 何ら罪に問われないのが原則となってしまったのである。また検察のみならず裁判所においても 交通事犯に対する刑がかなり軽くなっています。 (以上、新波新書『交通死』二木雄策著) こういう状況で行政処分と刑事罰で被害者の気持ちがおさまるということはあり得ません。
しかしなるべく重い罰を与えたいものです。そこで行政処分を決める交通事故点数がどのよう に決まるかネットで調べてみると下表のようでした(2003年)。
種類(怪我の程度) 不注意の程度 点数 死 亡 事 故 一方的不注意によるもの 20 それ以外 13 3ヶ月以上または後遺障害13級以上 一方的不注意によるもの 13 それ以外 9 30日以上3ヶ月未満 一方的不注意によるもの 9 それ以外 6 15日以上30日未満 一方的不注意によるもの 6 それ以外 4 15日未満(含建造物損壊) 一方的不注意によるもの 3 それ以外 2
※怪我の程度は、医師の診断書によるもの。(二人以上の場合は最も重い診断書の日数です)
・ 車で故意に怪我又は死亡させた場合〜45点
・ 危険運転致死傷罪〜45点
上記表の点数に事故の原因となった違反の点数(安全運転義務違反2点など)が加算されたものが事故を起こした場合の点数になります。これと点数毎に処分をまとめた表がネットにありましたので、医師の「歩行能力が三分の一程度に 低下する」という言葉をもとに考えますと母の場合の加害者が受ける行政処分は、このほかに
・ ひき逃げ(救護措置義務違反)の場合〜23点
・ 当逃げ(危険防止措置義務違反)の場合〜5点
が加算されます。
安全運転義務違反2点+後遺障害一方的不注意13点=15点 (免許取り消し)
が妥当と思われました。ところが実際はこれよりもウンと軽くなるのです。なぜなら医師の診断書 が実際とはかけ離れたものになり、警察もその診断書を事情聴取のときに持って帰るからです。
一方刑事処罰ですが、暴走や泥酔の危険運転致死傷罪でない場合は
業務上過失傷害・・・・5年以下の懲役若しくは禁固又は50万円以下の罰金
が適用され、一般的交通事故はこれが適用されます。処罰の程度の判断には ・怪我の程度 ・事故の原因となった不注意の程度・情状(示談の進展具合、被害者との関係、被害者の意見など) によって決められるようです。具体的な処罰は、個々の事故によって異なるため難しいのですが、
・ 死亡又は3ヶ月以上の重傷
一方的な不注意〜4・50万の罰金又は懲役 、 それ以外〜2・30万の罰金
・ 3週間以上3ヶ月未満の怪我
一方的な不注意〜20万円前後の罰金 、 それ以外〜10万円前後の罰金
・ 3週間未満の怪我
危険な法令違反(横断歩道上、信号無視など)を伴うもの以外は、処罰を受けないことが多い
実際の処罰は、検察官(罰の要求)及び裁判官(罰の決定)が決めることから、上記は、あくまでも 目安ですがどうでしょう軽いと思いませんか。自分の不注意で人を殺しても5年以上の懲役には ならないのですから。母のような場合のように人を一生かたわにしておいても数十万の罰金で済むの です。実際には医師と警察が織り成す寛刑化システムのために母の場合は20万程度の罰金ですんだと 思われます。
行政処分や刑事罰は被害者には通知されません。警官がいうには「加害者のプライバシー」になる から保護せねばならないそうです。
以上、加害者の罰を決めるポイントは二つです。
・医師の診断書の内容
・警察の被害者調書
行政処分は診断書だけで決まると考えて良いでしょう。また刑事罰は診断書と被害者調書が重要です。
寛刑化システムは個人の力ではかなわないほど強固ですが、出来るだけ力を尽くして被害者に有利に
なるよう努めてください。ホームページの示した「交通事故に負けない被害者の本」はその戦いに
とても参考になります。警察の事情聴取の前に主治医への働きかけをすることにしました。